助けてほしい

1カ月ほど前のことだ。

辞めていった元同僚から助けてほしいとLINEが来た。

訪ねていくと、その部屋には床がなかった。
梁は弱々しく残っているが、床は腐って落ちている。

ゴミ屋敷(汚部屋)だったのだ。

回収業者を頼んで、ゴミ(といっても生ものはない)を撤去すると床が腐っていた。
床だけではない。元々設置されていた靴箱、クローゼットの扉、柱の角なども腐っている・・・廃墟・・・それも立ち入り禁止の相当にヤバい物件レベル。

1Fだから床の下は、土。
異臭はなく、土の臭いと湿気が充満している。

3月中旬に、ホコリが原因なのか、コンセントがショートして電気もつかなくなったそうだ。黒焦げた漏電の跡が危険度を更に上げている。

唯一、エアコンのコンセントだけが生きている。
電気調理器具関係も使えない。
使えるのは、水道のみ。

トイレも使えない・・・近くのコンビニに行くのだと思う。

洗濯は手洗い。

ここで暮らしている意味が全く理解できない。
早くここから逃げるべきだ。

しばらくいたら、強い尿意をもよおし、失禁してしまった。

それくらい、強烈すぎて耐えられなかった。

このアパートの管理者へ連絡する勇気がないという。

まずはここから逃げてほしかった。
実家に帰って、家族と相談するべきだ。

私が抱えられるレベルでは到底なかった。

翌日、お母様へ電話をし、すぐに迎えに来て欲しいと伝えた。
これは冗談ではなく命の問題だと。

その夜、管理会社に一緒に行ってほしいと連絡が来たが、お金の話なので遠慮させてもらう。

金を払う人間が立ち会わないでどうする。
お母様やお兄さんにお願いするのが筋だと思う。

そんなことでウジウジとあの劣悪な環境にいられることに、腹立ちと薄気味悪さを感じて、寒気がする。

去年の6月に同僚との折り合いが悪く退職した。
それなりに就職活動もしたのだろうが、時期が悪すぎた。
コロナ禍により再就職で躓いた。
転げ落ちるのは早い。
失業手当もなくなり、わずかばかりの蓄えも底をつく。

人の表裏というのも大げさだけれど、思い出される会話の中での違和感。

家に宅急便が来ても絶対に開けない。

一人暮らしだったとしても異様さを感じるくらいの警戒心だと思っていた。普通の暮らしができているのかと不安にさせる頼りなさ。

だが実際は、ゴミ屋敷だったから玄関を開けることが出来なかったということか。

 

仮面ライダーをぼんやりと見ていた。

困っている人に手を差し伸べる本郷猛にはなれない。
正義の味方にはなれない。

せめて有り余るお金があれば。

それでも、こちらのアドバイスには耳を貸さない相手にお金が出せるか?

いくじなし
根性なし

大槻ケンヂが叫ぶ。

お金だよ。お金が全てとは言わないが、多くの部分が解決するじゃないか。

見捨てた。

絶望。
望みを私が断ったのではないか。
そんな罪悪感で押しつぶされそうだった。

手の震えが止まらない。

文七元結の長兵衛のように、50両を投げつけることができない。

あれから一カ月。何の連絡もない。
金がないやつには用はないということで縁が切れるなら、それはそれで良いと思う。

 

5年後の世界

せめて生きていて欲しい。

後日追加:
その後はこちら ↓

元同僚のその後
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